子育て・教育のつどい2021「コロナ禍がうつしだした教育の闇と光」

5月15日(土)、子ども・子育て教育のつどいがオンライン併用で開催され、55人が参加しました。コロナ禍を考慮し、会場での参加は人数制限を行い、オンラインでの参加を広く呼びかけました。参加者の中には、大阪からWeb参加したという人もいました。
講師は、教育研究者であると同時に高知県土佐町議会議員でもある鈴木大裕氏。鈴木氏は、コロナ禍がうつしだした教育の闇と光というテーマで講演しました。

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世界では学校・教育の新しいあり方が模索され始め、コロナ禍で新自由主義の限界が問題視され始めています。しかし、日本では市場原理主義による「学力テストによる序列化」「公立学校の再編統廃合」「教員不足」が進み、教育が危機に瀕しています。こうした現実にどう立ち向かっていくのかを学びました。

問うべきは今までの教育

鈴木氏は、「昨年、首相によるトップダウンで全国一斉休校となった。しかし、本来は文科省や地方の教育委員会が決定すべきことだ。それなのに、まともな議論もないまま休校となった。ここに日本の教育行政の弱体化が表れている」と指摘し、「コロナ禍によってこれからの教育・学びのあり方がしきりに議論されるようになった。しかし、問わないといけないのは、今までの教育はどうだったのかということだ」と問題提起しました。

学校・教員の役割

鈴木氏は、現在の子どもたちは英語教育、ICT教教育などで非常に忙しい状態にあるとし、背景に、いい企業に就職することが目的化していることを指摘しました。そして、「テストでいい点を取るだけなら学校よりも塾のカリスマ講師の講義を聞いた方がはるかに効率的であることは間違いない。アメリカでは教育の超合理化・商品化・民営化が進んでいる。しかし、学校・教員の役割はテストでいい点を取ることだけではない」とアメリカの事例を交えて教育の合理化を批判しました。

その上で、子どもたちの声として、みんなと一緒に遊びたい、修学旅行に行きたい、部活したいとの声が多いことを紹介し、「子どもたちは学校は授業の為だけにあるのではないことを分かっている。わたしたちが問わないといけないのは、生徒の学びに喜びはあるのかということだ」と訴えました。

参加者からの感想

〇途中で何回か固まって、落ち着いて聴けていませんが、1年前の2月、安倍さんが学校を休校にすると木曜日に宣言したとき、新見市は次の月曜日から休校になりました。いつから休校にするか、その決定権は市の教育委員会にあったのですね。県教委かと思っていました。金曜日の朝は、校長がまだ県教委の方針が出ていないとか言っていましたから。

〇上に倣えで月曜日から休校になると、どれだけ現場も親も混乱するか想像できなかったのでしょうか?真庭市は火曜日からで、それなりの準備をして休みに入ったそうです。限られた条件の中での、活発な討議を新見市もやったんでしょう。

〇学校が保育所であり、塾であり、食堂であり、スポーツジムであり、旅行社でり・・ 本当にその通りですね。狭い意味での学力を上げるためなら、オンラインで学習ビデオを見れば良いですよね。

〇昔もよく言われていましたが、見えない学力を育てることこそ大事です。〜の活動を通して、〜の力を付けていく。今は、目に見える学力ばかりが重視され、子ども達は短い子どもの時代を子どもらしく送れていないように思います。教員は、学習することの楽しさと学習の仕方を教えていくことが大切。まさにその通りだと思いました。

〇最後に、退職教員は希望の星だと言われて、私も微力ながらできることをやっていこうと思いました。

子育て・教育のつどい2021「コナカがうつしだした教育の光と闇」の案内

明日開催される「子育て・教育のつどい」は第1部の鈴木大裕さんの講演のみとなります。

コロナの感染拡大を考慮し、第2部は中止とする予定です。

鈴木さんの講演はZoomでの視聴が可能です。希望者は以下からアクセスしてください。 

https://us06web.zoom.us/j/82805952881?pwd=N2dy0VHT3BHaEtPdDNnSU5aYWxZdz09

ミーティングID828 0595 2881

パスコード689508



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岡山県への要請行動

と き:2020年9月4日(金)

ところ:岡山県

内 容

岡山県教育委員会と「子どもたちの笑顔かがやく岡山をつくるために」9項目の要請を行いました。

コロナ禍での学校現場の実態を訴え、子どもたちの生命・安全を守るための対策を明確に答えて欲しいのに「予算を付けたけれど、人員が確保できない。」「国からの支持を待つ」などはっきりとした答えはないままでした。

国は三密を避けるように言っているのだから、まずは少人数学級の実現が最優先だと思うのですが、そこも国の方針でとの逃げ腰でした。

正規の教員の大幅な増員を強く求めます。

教職員へのPCR検査を実施しなければ安心して子どもたちに関われない、学校が集団感染のクラスターになってからでは遅いので、速効性が求められます。

3か月の休校で生じた学習の遅れもまもなく追いつく予定だと言われましたが、本当に子どもたちは大変な思いで過ごしています。

コロナ後の新しい生活様式ってどうなのかと思うのですが、ここ数十年間とにかく競争、競争の時代でした。今後は「競争から連帯へ」と変化させていきたいものです。

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岡山市教育委員会への緊急要請

と き:2020年7月15日(水)

ところ:岡山市

概 要

 

新型コロナウイルス感染症の拡大による臨時休校が、岡山市では5月21日から再開されました。保護者からは「学校は安全なのか」「三密は避けられない」と心配する声が多数聞かれました。現行の40人学級では子どもたちのいのちと健康をまもることができません。大規模校が多数ある岡山市では、特に深刻です。

 

こうした状況で7月15日(水)、おかやま教育文化センターは、岡山市教育委員会 菅野和良教育長に「20人学級」を展望した少人数学級の実現を求める要請を行いました。要請項目は以下の2点です。

1.少人数学級(20人程度)を早急に実現すること 

2.少人数学級の指導に対応できるよう、教職員を増員すること

 

要請参加者は、「岡山市は35人学級にしたら、学級の人数が18人になるという。しかし、岡山市の実態からしてあり得ない。大規模校では5~6人減にしかならない。いま全国知事会全国市長会が感染予防のために少人数学級実現と教員確保を求める提言を文科省に出している。伊原木岡山県知事や大森岡山市長もそのメンバーだ。教育長が率先してイニシアティブを発揮し後押ししてほしい」と訴えました。

 

これに対して、「岡山市は人数の多い学校が多いため、定数減(40人→35人)を実施すると学級増になる。今のままだと教室が足りない問題がある。そして、35人定数になると、18人と18人になりと学習の集団としては良いが、生活集団としてはどうなのか疑問もある」とこれまでの返答を繰り返しました。

 

また、修学旅行等の中止・延期について、「学校行事を通して身につく力は大きいことはわかっている。代わりのものを考えている。小学校も修学旅行を3学期に実施予定だが、これもリスクは高いのが現実だ」と話し、「入試について今は県が出題範囲を狭くするとは言っていないので、中学校現場の実態、第二波、三波を考えて決定していく。対話型の授業ができない、大きい声を出さない、マスクをして声が聞こえにくいなど、授業にも影響が出ている」と岡山市としての対策・代替案について言及しました。

 

〇寄せられた教職員・保護者・子どもの声

 

・分散登校を実施した学校では、「密が避けられたのはもちろん、少人数学級で子どもたちにきめ細かな指導ができた 少人数指導の良さを実感した」という教師の声がきかれた。ぜひとも、子どものいのちを守るためにも手厚い指導のためにも少人数学級を実施してほしい。

 

・子どもたちは登下校時もマスクをしているし、密にならないように、休み時間も一斉に運動場に出ないなど制限が多い。子どもたちは窮屈な中でも我慢している

 

・中学校では、学校再開後すぐ自己診断テストがあった。先生も子どもたちも急いでいる。受験があるので、勉強 勉強になっているのは分かるが、学校行事は次々中止になって、行事から学んだり、行事で育ったりする機会がなくなっている。子どもから「中止慣れ」という言葉が出る

 

・学校のいろいろな行事が中止になった。運動をやっているがその全国大会などことごとく中止。子どもたちの残念さは計り知れない。国は「GO TO トラベル キャンペーン」と言って旅行を勧めているのに、修学旅行の中止は子どもに説明のしようがなかった。先生に尋ねても「天の声」としか。

 

・臨時休業中はプリント学習が多かったが、授業もなにか違う。

 

・コロナはすぐには収まらないし、動物由来なのでまた新しい細菌が猛威を振るうこともある。そもそも、人間が儲けのために乱開発をしてきた結果だ。今も密になって心配だが、今年だけの心配ではない。まず、来年度から、現在1、2年生まで実施している35人学級を3、4年に拡大することからやってほしい。次は5、6年と展望をもってやることだ。

 

・K小学校は1、2年が2クラスで3年生から1クラス(19人→38人)、S小学校は1、2年生3クラスから3年生2クラス(26人→39人)になり、教師からも保護者からも「勉強は難しくなるのに学級の人数が多くなって一人一人にゆきとどかない」「子どもの数は同じなのにどうしてクラス数が減るのか」という声をきく。

学校再開にあたっての緊急要請行動

と き:2020年6月18日(火)16:00~

ところ:岡山県

概 要

 

おかやま教育文化センターは、学校再開にともない、子どもの学びと心身のケア、安全を保障するための要請行動を行いました。行動には元教員を含め7人が参加しました。

 

限られた時間でもあり、学力テストの問題に焦点を絞っての懇談となりました。全国学力テストが中止されたことを受け県独自の学力テストも中止にする県がある中、岡山県は8月31日までに小学校3・4・6年生と中学校1・2年生の学力テストを実施することを各市町村教育委員会へ通知しています。

 

大谷浩司さん(岡山県教職員の会)は、「一斉休校が解除となり、生徒との関係構築や授業の遅れ、受験対策など現場は多忙を極めている。このような状況で、学力テストを実施することは生徒にとっても教員にとっても負担にしかならない」と学力テスト実施の中止を訴えました。

 

県からの回答は、「要請の中身は、担当の部署に責任をもって伝える」というもので納得のいくものではありませんでした。

 

田中博代表が、「今日触れない合ったことを含め、例年のように秋ぐらいにまた要請させてもらう」と懇談を締めくくりました。

 

教員は教育のプロであり、生徒と接する中で生徒の変化をみとる必要があります。テストの点数で子どもの状態をみとるだけでいいのか。そして、できる喜び、学びの喜びはテストだけではありません。

 

 

 

 

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